大判例

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東京地方裁判所 昭和23年(行)93号 判決

原告 石田スギ

被告 武藏野税務署長

一、主  文

本件訴を却下する。

訴訟費用は原告の負担とする。

二、請求の趣旨

原告訴訟代理人は被告は原告に対し昭和二十二年十一月二十五日付通知書に基く昭和二十二年度所得額更正決定(決定所得額五万円税額一万三千八十二円四十銭)を取り消せとの判決を求めた。

三、事  実

昭和二十二年度における原告申告の課税所得額は三万五千四円である。しかるに被告は昭和二十二年十一月二十五日付更正決定通知書により所得額金五万円税額一万三千八十二円四十銭と更正した。右更正決定は所得税法第九條第九号第十條第二項に違反する決定であるところから原告は昭和二十三年一月十九日被告官廳を経由東京財務局長あて審査請求をなした。被告は右申請書を財務局長へ送付して財務局長の審査決定をうける手続をなすべきにかかわらずこれをなさず督促手続を開始した。原告は適正なる審査決定を受くる望が絶えたので本訴におよんだと陳述した。(立証省略)

被告指定代理人はまず主文第一項同旨の判決を求め、その理由として原告は本件更正決定の通知書をおそくも昭和二十二年十一月末までに受けているから審査請求をなすとしたら一ケ月以内である同年十二月末までにしなければならない。しかるにこの期間を経過した昭和二十三年一月二十八日になした原告の審査請求は不適法なものである。しこうして行政廳の違法処分の取消変更を求むる訴はまず審査請求を経由し後でなければ訴を提起することができない。原告は昭和二十三年一月二十八日にそれ自体不適法な審査請求をなし同年四月二十八日に至りこれを取り下げその後同年十二月十五日に至り本訴を提起したのであるから本訴提起当時にはその提起要件である審査請求がない。從つて本件は訴訟要件を欠く不適法の訴として却下さるべきであると陳述し、次に本案につき原告の請求を棄却するとの判決を求め、答弁として原告主張事実中原告の昭和二十二年度の課税所得額を五万円としたこと、ならびに原告より東京財務局長あて審査請求がなされたことは認むるも原告の事実收入が原告主張の如くであることは否認すると述べた。(立証省略)

四、理  由

所得税法第四十九條第一項によれば政府のなした所得金額の更正決定に対する審査請求は納税義務者が右決定の通知を受けた日から一ケ月以内にしなければならないことが明らかである。

しこうして東京都内においては郵便物は通常の場合四、五日を出でずして名あて人に到達していることは顕著なる事実であるから、昭和二十二年十一月二十五日付本件の更正決定通知書は右日付の頃発送せられ從つておそくも同年十一月末までに原告に到達したことは推認するに難くない。しかるに原告の主張によれば本件審査請求は通知書到達した右昭和二十二年十一月末より一ケ月の期間経過後である昭和二十三年一月十九日になされたものであつて原告が右期間中に審査請求をなさなかつたについてやむを得ざる事由ありとの主張も立証もないから原告の右審査請求は不適法なものといわなければならない。從つて適法な審査請求の存在を訴提起の要件となす本訴はその要件を欠く不適法な訴と断ずるのほかなくよつてこれを却下すべきものとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第八十九條第九十五條を適用し主文の通り判決する。

(裁判官 高井常太郎)

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